GTレースとオーバルトラック 2000/04/15

 ツインリンクもてぎの完成後間もなく、そのオーバルトラックに仮設シケインを設置して全日本GT選手権オールスター戦が開催された。当初シケインを作る予定は無かったようであるが、NASCAR車両などと違い、GT車両では運転席の位置が左側に統一されておらず、高速で右側から壁に当たった場合“右ハンドル”だと危険であるとの理由で、シケインを設置することにしたらしい。だがそのような問題はあるにせよGTカーレースは、実はオーバル向きのカテゴリーの一つであるとは言えないだろうか。

 峠道でコーナーを攻めることだけが目的のスポーツカーと違い、GTカー(註1)の場合は高速道路を高速巡航するというのも主要な機能のひとつである。峠道に譬えられるレーストラックがロードコースならば、高速道路に譬えられるのはオーバルであろう。そう考えると、オーバルトラックでGTカーレースが殆ど行なわれていないのは片手落ちとも言える。確かに前述のような安全上の問題もあり、これを完全に解決するのは難しいかもしれないが、左廻りと右廻りの両方のレースを同数だけ開催することにすれば、少なくとも右ハンドル車と左ハンドル車の間の不公平は無くなる。更には高速道路タイプのコースとしてオーバル以外にも、稿を改めて詳述するつもりであるが、“8の字型トラック”などというのも考えられよう。これならば右ハンドルでも左ハンドルでも危険度は変わらない理屈になる。尚、レギュレーションで運転席の位置を例えば左に統一する、という考え方もあるが、これは左ハンドル仕様が存在しない車種の参加を難しくする事に繋がるので、GTのような市販車ベースのカテゴリーには馴染まないと言えるだろう。

 現在の全日本GT選手権は年間6〜7戦(+オールスター1戦)である。これにオーバルを4or6戦足して年間10〜12戦程度とすれば、ある意味でバランスのとれたシリーズになるとは言えまいか。

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註1.
 スポーツカー及びGTカーの定義というものは、ロードカーの世界に於ける、というより“本来の”定義と、自動車競技の世界に於けるそれとが違うことは承知している。
 本来スポーツカーやGTというのは自動車の機能に従った分類であり、車体の形状に拠る分類ではない。具体的にはスポーツカーとは自動車を操縦する行為そのものを目的とした(即ちスポーツドライビング)、言わば「純文学」「純粋美術」などに対応すべき「純粋自動車」であり、GTとは読んで字の如くグランドツーリング/長距離移動の為の「実用車」である。従って車体の形状から見れば、スポーツカーはロードスターであったりクーペであったり、GTもまたクーペであったりセダンであったり、色々である。
 一方自動車競技の世界においては、スポーツカーとは広義には“フェンダーのある車(タイヤ丸出しのフォーミュラカーに対して)”の意味である。狭義にはそのうちクーペ或はオープンボディのものを指す。そしてGTとはスポーツカーの内、ロードカーをベースとしたものをいう。であるから例えばクーペボディのレーシングスポーツカーでセダンが基本のツーリングカーレースに出走することは不可能だが、GT/スポーツカーの競技にセダン(勿論フェンダーがある)で出走することは原則的に自由である(例:昔の4ドアのグループB・GTカーの多さを見よ)。即ちスポーツカーは車体の形状を表す用語であり、GTはスポーツカーの一種という事になっている。
 とはいえ、GTカーレースには本当のGTカーも多く参加している訳だから、プロトタイプスポーツカーのレースとは違う要素をやはり求めたい。

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